リプル

「個別面接で行うソーシャルスキルトレーニング学習会」のご報告

2015年度 冬講座のご報告

 2015年度の冬講座が無事終わりました。どのような内容の研修を行ったか、まとめてご報告したいと思います。

 冬講座は2グループに分かれての開催となりました。どちらのグループも非常に積極的にご参加いただき、3時間があっという間に過ぎて行きました。(私がそう思っただけでなく、一言感想でもそのようにおっしゃっていただいたので、多分参加者の皆様もそうであったのではないかと…。)

 第1回では「問題がどのように作られるか、その上で解決をどのように作っていくのか」ということを、人のコミュニケーションの特徴と現実作りの話を中心に学びました。「難しいけど、自分と家族のやりとりなどと重ねて考えることができた」「日常のやりとりで考えたら理解できた」など率直な感想をいただきました。

 第2回は具体的な行動プランが引き出されるように、相談者の話をどのように聞いていくか、相談をどのように展開させるかについて学び、具体的な技法として「コンプリメント」「トラッキング」の演習を行いました。「相手に伝わるよう自分のメッセージをコントロールするのが難しいことに気づいた」「緊張して頭が真っ白になった」とロールプレイ後の感想からは自分の支援方法についての気づきがいっぱいでした。

 第3回は「SSTでやってみることになった行動プランをやってみてどうか」の報告を受ける大変重要な面接についてです。気がつけば最終回ということもあって、演習が終わるたびに和やかに感想のやりとりがなされました。「頭に利用者さんのことが浮かんだ」「すぐには無理かもしれないけど、使えるところから使って行きたい」「何となくわかった感じなので、もう少し学びたい」など、実践者としての心意気を感じる感想をいただきました。


2015年度 夏講座のご報告

第3回「リフレクションの活用法」

 夏の講座の最終回。クライアントの実践結果を振り返りながら、生じてきた変容を促進させる方法を学びます。その前に、恒例となった前回の復習タイム。

 トラッキング→支援者の評定→支援者の介入によりCLから引き出された新しい意味づけや行動のアイデア→練習プランの組み立て→とロールプレイをしました。「手順が頭に入っていないと展開させられない」、「どう言えばいいのかわからなくなった」など、悲鳴のような声が(笑)。

 CLに実践報告をしていただく時、支援者はどのような内容であっても解決努力として肯定的に評価し、コンプリメントすることが大切です。また、記述された内容を注意深く差異化し、生じ始めた変容をCLが意識して使えるよう働きかけることが求められます。時間が迫る中、説明も十分ではなく、大変難しい内容だったにも関わらず、皆さん、果敢にロールプレイにチャレンジしてくださいました。

 3回を通しての感想では、全員から「難しかったけど、楽しかった」「引き続き学びたい」ということばをいただきました。ご縁をいただき、ありがとうございました。


第2回「練習プランの立て方」

 2015年8月9日(日)。第2回の内容は「練習プランの立て方」です。トラッキングにより問題場面が、その出来事を構成していた最小単位である行為の連鎖に分解された上で、その連鎖を眺めてもらいながら、クライアントから解決のアイデアを引き出していきます。つまり、いったん組み上げた現実を分解し、もう一度考察の対象とすることで、その時には生まれなかった新しい行動選択の可能性や、意味構成の可能性を引き出しながら、最終的に解決につながる具体的な行動を探っていくわけです。

 前回、あまりにも時間が無さ過ぎたので、今回最初にトラッキングの練習を行いました。2週間前の学習の成果を…と皆さん思われたのですが、「何をどう聞くんだったっけ?って頭が真っ白になった」「自分の普段のやり方になってしまった」など、あたふたしたというご意見が続出。意識するポイントをつかむいい練習になりました。

 後半、循環的質問法についての説明をした後、トラッキングの形になったクライアントの記述をもとに、クライアントから解決につながるアイデアを引き出すまでをロールプレイしました。皆さんからは「ことばの使い方、質問の仕方が難しい。」というご意見があり、意識して使い、慣れていく必要があると皆さんで確認し合いました。

第1回「問題の聞き取り方」

 2015年7月26日(日)。本年度最初の個別SSTの学習会です。第1回の内容は、個別SSTの方法が、どうやって問題状況を動かし、解決につながる具体的な行動を作り出せるのか、その仕組みを理解していただくために、包括的対人支援の理論的な枠組みと技術の説明を行いました。

 次に、個別SSTの面接手順を説明し、第一段階であるクライアント訴えを聞く練習に入りました。といっても、この段階でやることは一つではありません。

1.訴えを励ます(コンプリメント:これがまた簡単じゃない)

2.問題を構成する出来事群の具体化

3.クライアントによる問題場面の選択

4.クライアントが選択した問題場面の詳細な記述(対人間のやりとりの具体化)

5.4で記述されたやりとりを行為の連鎖の形にする(トラッキング)

 

 これだけのことをインテークですべて行えるかというと、やはり難しい時もあります。しかし、コンプリメントのスキルを向上させ、質問を的確にしていくことで、初回面接でかなりのことができます。

 ほぼ時間の無くなった後半は、トラッキングの練習をさわり程度に行いました。(次回もう少し時間を取ります。ごめんなさい。)皆さんからは「訴えの規模がでかすぎて落とし込むのが難しかった」、「事象だけを並べるのに慣れてないので、クライアントの反応が気になった」、「コンプリメントをせずに進めてしまった」などの感想をいただきました。質問もたくさんしていただき、いいスタートが切れました。

2014年度 冬の講座のご報告

第3回「リフレクションの活用法」

 休憩時間はそれぞれの現場の話で盛り上がりました。エコマップや家族図を描いて状況のアセスメントができても、実際に子どもや保護者に関わり、変容を生み出す力がないと解決につながらない、など熱く語り合いました。

 2015年2月22日(日)。

 今回はクライアントが考えた行動計画を実践してもらった後、「やってみてどうだったか」その報告を聞く際の面接について、前回の内容を復習しながら進めました。

 スタッフが面接場面を再現し、参加者の皆さんには、SWの質問によって引き出された、問題状況の行為連鎖を書きとっていただきました。出来事がどういう行動と意味づけによって構成されているか、どういう繋がり方をしているか、詳しく話してもらうと解決のアイデアも考えやすくなります。しかし、そのためにはコンプリメントと質問の工夫が重要だということが再認識されました。

 後半は参加者にロールプレイに挑戦していただきました。コンプリメントをしながら、時には質問に困りながら、クライアントからこれまでと違う行動のアイデアを引き出すように面接を展開していかれました。全員でSW役の質問の流れをふりかえりました。挑戦者からは「何を聞けばいいか出て来なくなってあせったが、”じゃあこの時はどうなんだろう?”と思って、(差を)聞くことができた。何とか思いつけて良かった」と感想をいただきました。


第1回、第2回 「問題の聞き取り方」「練習プランの立て方」

 2015年2月8日(日)。

 今回の学習会の内容は、相談支援の開始から、クライアントが自身の問題解決のために試してみようと思う具体的な行動プランを立てるところまでを、前半は講義形式で、後半は事例を用いて、参加者それぞれに「あなたならここでどうするか」という質問に答えていただきながら、対人支援の方法論について理解を深めました。

 個別SSTを行う面接では特に、クライアントの問題状況を変容させる、これまでとは違う具体的な行動(スキル)が明確になるよう支援することが重要です。参加された皆さんは、「う~ん」と頭をひねりながら、より効果的な質問を具体的に考えてくださいました。

 次回は、クライアントの報告を基に、起こりつつある変容を展開させる方法について学びたいと思います。


2013年度 冬の講座のご報告

第3回「リフレクションの活用法」

 2014年2月23日(日)10時より、第3回の学習会を行いました。3回シリーズの最終回となります。SSTが問題解決にどのように機能するか、問題の生成過程を理解し、クライアントがトレーニングしようとする具体的な対処スキルの立案の支援手順・技法を学んできましたが、今回はその実践報告の面接について、ディスカッションと演習によって学習を進めました。

 クライアントの実践を無にせず、解決をより推し進めるためには、支援者はどのような点に留意する必要があるのか、それぞれの臨床経験をもとに考えていただきました。介入プランについてだけでなく、具体的なことばの使い方や、間の取り方など細かいことも含めて多くの意見が出て、大変参考になりました。 後半の演習では、頭で理解したことを実際にやってみて、またご意見をいただきました。

 参加者からは「実際質問されて、自分が切り崩された感があった」「差が生じたのがわかった」「具体的な技法を学べた」「コンプリメントのスキルをアップさせたい」など、感想をいただきました。お互いに学びを深め合う学習会となりました。ありがとうございました。


第2回「練習プランの立て方」

 2014年2月9日(日)10時より、第2回の学習会が無事に始まりました。今回のテーマは、クライアントの訴えを聞き取った後、どのように介入し、クライアントによる実践プランの立案を支援するか、学びました。スキルを練習するためには、練習するスキルが明確になっていなければなりません。クライアント自身が練習しようとするスキルについて自分で案を考え、計画を立てることで、より効果的な練習/実践ができ、解決スキルが習得されていきます。そのため今回中心となったのは、そのゴールに導くための介入技法についてです。

 支援者の質問に答えることで浮かび上がってきた詳細なデータにより、クライアントはもう一度自分自身の問題を再定義できるようになります。支援者はこの再定義をもとにクライアントが<具体的で><単純で><明確な>解決行動を組み上げられるよう、介入技法を選択し、支援を進めます。…こうして書くと単純なプロセスのように思うのですが、実際には難しい!

 後半はグループにわかれて、事例を検討しながら、介入技法の選択ポイントや組み合わせ方、どういうセリフとなって使われているかなどを考えていただきました。(時間が足りず、感想をお伺いすることができませんでした。)


第1回「問題の聞き取り方」

 2014年1月26日(日)10時より、リプルにおいて、「個別面接で行うSST」の学習会が始まりました。1回目は「問題の聞き取り方」というテーマで、スキルトレーニングに入る前に、クライアントの訴えをどのように聞いていくか、という理論と技法についての講義と演習を行いました。
 後半どんどん時間がなくなってきて、最終的には20分も時間オーバーしてしまったのですが、皆さん、最後まで熱心に練習してくださいました。

 スキルトレーニングをするからには、具体的場面で実際に使える行動レベルでの解決策について明らかにならなければなりません。そのため支援者はクライアントに問題に関する詳細な記述を求めますが、その際支援者には、クライアントの語りを励ます姿勢と、具体的な対処スキルの探求や吟味に焦点を当て続けることが求められます。

 実際にやってみての感想として、「焦点をあてようと意識していたのに、他事が気になって自分からずらしてしまった」、「共感しすぎてしまって、渦の中からぬけ出せなかった」など率直なご意見をいただきました。また「もう少し練習する時間がほしかった」、「練習課題が示された方がよかった」などのご要望もいただきました。次回は「練習プランの立て方」というテーマで、変容を生み出す「介入スキル」の講義と演習になります。いただいたご意見を活かして、より有意義な研修時間にしたいと思っています。